目的
この記事の目的は、以下である。ある人物が、「土地転換に伴う生息地の喪失は、生物多様性に対する最大の圧力である」という主張に疑問を呈している。本当にそうなのか?もしそうなら、なぜか?
1. 主な5つの圧力
自然への圧力・脅威と影響については、シンク・ネイチャーのコンセプトノート#2で説明されている。おさらいすると、IPBES (Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)(2019年)などが特定した5つの主要な地球規模の生物多様性への圧力は、(i) 土地利用の変化(生息地の転換/喪失/劣化)、(ii) 生物資源の直接的な利用(過剰搾取)、(iii) 気候変動、(iv) 汚染、(v)外来種である。
本記事の主な内容は、都市開発、輸送、農業または林業の拡大といった目的で行われる土地の転換/喪失の位置づけに関するものである。土地転換による生物多様性への影響として、生息地が喪失し、転換された地域に生息していた種がそこに生息できなくなることを意味する。生息地喪失の分析とは、基本的には空間に関わる分析である。(i) どれだけの土地が失われたか、(ii) どのようなハビタットタイプが失われたか、(iii) 生息地の分断化やさらなる撹乱によってどのような影響が引き起こされるか、ということによって違いが生じる。生息地喪失のほぼ100%は人為的な活動によって引き起こされており、自然災害による影響は、過去から現在の人間活動と比較すると、規模としては微々たるものである。
土地利用やその他の圧力は、(1) 人間の活動の下で生息地を完全に失う、(2) 生息地の劣化(生息地の状態の低下による部分的な損失)、および (3) 地域の連続性の低下による生息地の断片化を引き起こし、種の地域個体群動態に悪影響を及ぼす。生息地の喪失、劣化、断片化は、それぞれが人間社会のニーズによる土地転換および生態系状態の著しい低下の帰結であり、少しずつ異なるものである。
この文書は、「なぜ人間によって引き起こされる自然への最大の圧力は土地転換/生息地の喪失と劣化なのか?」という質問に直接答えている。この質問には、圧力による影響経路を生態学的メカニズムを把握することによって答えることができる。
IPBES (2018) に則り、5つの最大の圧力/脅威を要約すると以下の通りである。
- 生息地の喪失:
陸域および淡水生態系にとって最大の圧力であり、地域の意思決定者に委ねられていることから、抑止することが可能である。とはいえ、もちろん経済的な圧力により土地転換が困難になる可能性は依然としてある。 - 直接的な利用:
海洋生態系にとって最大の圧力であり、陸域生態系にとっては2番目に高い圧力である。人々の手に委ねられている(則ち抑止することができる)が、ここでも経済的事由により、この圧力を低減できる可能性が制限される傾向がある。 - 気候変動:
生態系の変化と生息地の劣化を引き起こす地球規模の最も大きい圧力である。局所的な観点からは完全に抑止不可能であるが、進行は比較的遅く、地球温暖化のアウトカムはまだ見えていない。 - 汚染:
人間活動によって生じる主要な副産物である。汚染が抑制されていない場合、その影響は局所的または地域的に著しく悪影響を及ぼす可能性があるが、現代においては技術的な解決策によって大幅に削減・除去が可能である。すなわち、産業プロセスからの汚染は、大部分が抑止可能である。 - 外来種:
それぞれの外来種の特徴によって様々な影響を持つ。地域内でどれだけ定着しているか、どれだけすばやく侵入するか、在来種の動植物をどれだけ置き換えてしまうのか、そして可能だとしてもどれだけ根絶が困難か、という点により異なる。
2. 生息地の喪失(+劣化及び断片化)による悪影響が大きい理由
生息地の喪失は、生物多様性に対する圧力のうち抑止可能な圧力の1つであるため、特に強調する必要がある。生息地の喪失は土地利用によるものであり、土地利用は主に地域の人々、企業、行政が意思決定権をもつ。直接的な土地の喪失(生息地の転換、生息地の破壊)は、農業、林業、交通基盤整備、都市建設、またはその土地を集約的に利用するその他同様の人間活動の拡大に起因する可能性がある。 生息地の劣化は実質的には騒音、汚染、撹乱、夜間の光などの間接的な影響による生息地の状態の低下(植生の健全性・自然度低下)に起因した部分的な喪失を意味する。気候変動については、急速に変化する気温や降雨量に生態系が適応できない場合、大規模な生息地の劣化の要因となる可能性がある。
生息地の転換のメカニズムと、それが自然界全体にとって非常に深刻である理由:

土地転換(すなわち、生息地転換)には、例えば交通基盤整備や都市拡大のための土地利用が含まれる。集約的農業や単一の樹種で構成された単純林への転換は、完全な生息地喪失を引き起こすわけではないが、それにもかかわらず、ほとんどすべての一次生産を人間の利用に供することになり、その地域から自然に生息する種の大部分が消失することに繋がりかねない。
生息地の喪失により以下に示すような結果となる。
- 生息地喪失における特異的な特徴は、その地域で発生するすべての種に影響を与えることである。食料と繁殖のための生息地(=資源)がない場所では、いかなる種も生息できない。
- 生息地のある割合xが改変されると、すべての動植物の個体数は平均して同じ割合xだけ減少する。例えば、ある場所の半分を失うと、個体数は半分に減少する(図1、ステップ2)。これは、その地域の一次生産(植生)が失われ、それに伴い食物網の残りの部分も失われるためである。
- 生息地の喪失により、比較的自然度の高い生息地と、集約的な人間活動に使用されるエリアが接する新たなエッジ(縁辺)が生じた場合、一部の種が騒音、光害、汚染及び人間の侵入等の圧力を忌避し、エッジ効果(図1、ステップ3)によりさらなる生息地の劣化を引き起こす可能性がある。
- 生息地の喪失が著しい場合(例えば60%未満)、自然度の高い生息地は分断化され、一部の種の個体数は、分散時に死亡率が増加するなどの負の影響により、さらに減少する傾向がある。
- さらに、生息地の面積が大幅に減少すると、ある場所の一部の種の個体群は生存できなくなり、その種は消失する(図1、ステップ4)。すべての種には、いわゆる 存続可能な最小個体群サイズ (MVP: minimum viable population size)があり、それを下回ると出生と死亡の確率的変動、性比の変動、および極度に狭い遺伝子プールによる負の影響のため、局所的な個体数の絶滅につながる傾向がある。存続可能な個体数を維持するために必要な面積は種によって異なり、多くの植物や昆虫は小さな面積で生存できるが、大型の哺乳類や鳥類は比較的広い面積を必要とする傾向がある。
- MVPに関連するのが種数と面積の関係であり、これは生態学において観測された最も強固に結びついた経験則の一つである。生息地パッチの面積が半分になると、約10%の種が局所的に消失する傾向がある、と解釈できる。これは、その面積が極度に小さくなることで、その種が長期的に存続可能な個体数を維持できなくなるためである。
図1に関連して考慮すべき重要事項がある。 生物多様性や保全に関するアプローチは、絶滅リスクに焦点を当てているものがあるが、これらは十分な内容ではない。なぜなら、すべての種の減少は、個体群サイズの減少に起因するからである。 局所的に絶滅が生じる前に、局所的に個体数が減少する。地域的な絶滅が生じる前には、局所的に個体群の絶滅が生じる。国内での絶滅が生じる前には、国内での地域的な絶滅が生じる。地球規模の絶滅が起こる前には、国単位での絶滅が起きる。絶滅への連鎖は、生息地の喪失による個体群サイズの減少から始まっている。生物多様性への影響を適切に管理するための核心的な課題はいかに生息地の喪失を回避し、最小限に抑えるということである。
その地域で希少種、絶滅危惧種、または法的に保護を指定された種や、それらの生息地が発見されなかった場合、その土地が喪失すること自体は通常の「特に問題のない活動」、すなわち「business-as-usual(通常通り)でであっても、追加対策の必要のない活動」として見なされることがあるかもしれない。 このようにして、「ありふれた」種や生息地は、環境影響評価において生態学的に価値がないものとして暗黙のうちに扱われることがある。つまり絶滅リスクが認められない限り、個体数や生息地面積の減少は重要視されない。もし「ありふれた」生息地の喪失が徐々に進行することを許容すれば、現在ありふれているすべての種や生息地も、いずれは絶滅の危機に瀕することになる。希少種もまた、ありふれた生息地とその種の喪失を介して影響を受ける。なぜなら、それぞれの種は食物網を通じて地域レベルで繋がっているからである。積極的に行動し、ありふれた生息地タイプのうち、良好な状態の地域に対しても価値を見出すことが重要である。

図2は、生態ピラミッドの文脈における土地の転換/生息地の喪失を示している。一次生産は植物によって提供され、植物は土壌からのミネラル、大気からの炭素、水、太陽のエネルギーをバイオマスに変換する。草食動物は植物を食べる。草食動物によって消費されるのは植物のごく一部であるものの、ピラミッドの形状は狭くなる。捕食者は草食動物や、場合によっては他の捕食者を捕食する。生態ピラミッド(食物網)の階層が上位になるにつれて、利用可能なエネルギーはますます少なくなる。その理由として、それぞれの下位の階層の維持のためにそれぞれのエネルギーの大元である太陽からのエネルギーの一部が使われるからである。個体群を維持するには生息面積が小さすぎる場合、もしくはその種が必要とする資源が特殊で、かつ広く薄く分散している可能性がある場合、地域的にかろうじて生き延びているに過ぎない種も一部存在すると考えられる。そのような専門種(specialist species)もしくは食物網の上位階層の種は、深刻な生息地喪失の後に最初に姿を消してしまうことが多い。
3. 土地転換/生息地の喪失が他の主な圧力と比較してなぜ問題なのか?
土地転換・生息地喪失に関する統計
ここまでの話で、土地転換とそれに伴い生息地が喪失することは重大な問題であると確かに言えるが、他の圧力に比べて本当に問題なのだろうか?どんな人でもその圧力の影響力、影響範囲、そしてその対処について考えることができる。ベースラインとして、土地転換/生息地の喪失は、全種の最大100%の地域的な喪失を引き起こす可能性がある。これは世界的規模で広がっている事象であり、私たちはそれについて地域レベルで行動することができる。
まず、土地転換・生息地の喪失はどの程度広がっているのか?例えばグローバル統計では、次の数値が示されている。
- 南極大陸を除く世界の陸域の480億haが農業に利用され、410億haが森林、410億haが不毛地(砂漠、不毛地、建築地域)である(FAO:国連食糧農業機関、土地統計2001-2020)。
- 農業面積のうち、1/3は農地で、残りは牧草地である(FAO土地統計2001-2020、ハイライト)。農地の面積は拡大している。
- 市街地、都市、交通基盤が占める面積は陸域の約3%である(多数の科学論文に記載、正確な数値はこの議論には必要ない)。
- 2020年には、世界の森林の54%が長期管理下にあり(FAO森林状況報告書)、つまり生物多様性が著しく劣化している。
- => 南極大陸を除く陸域の半分以上(55%)及び生産的な土地の70%を人間が使用している。
- 日本の国土面積の1/3に相当する約1,200万haが、生息地の転換・劣化により毎年失われている(IPBES土地劣化報告書2018、p.5)。
生息地の喪失は、生物多様性保全に関わるIPBES, CBD(Convention on Biological Diversity:生物多様性条約)、WWF(世界自然保護基金)、IUCN(国際自然保護連合)などの国際機関によって示されている他の主要な圧力と比較してどうなのだろうか?
ある種の過剰搾取(乱獲)は、対象となる種だけが被害を受けるのに対し、土地転換ではその地域のすべての種(大小・動植物関わらず)が失われるため、生息地の喪失ほど重大な問題だとはみなされないことが多い。しかし、ある種の過剰搾取(乱獲)によって副次的に生息地の著しい劣化/喪失が引き起こされる場合、問題となる可能性がある(例えば底引網漁や集約的な林業で発生する可能性がある)。
個体群の直接的な利用(過剰搾取)と比較した生息地の喪失
種の個体群動態の観点から見ると、個体群の直接的な利用は対象種の死亡率の増加に相当する。これは、変化した種間相互作用を介して、生息地/生態系に波及的な結果をもたらす可能性がある。単一種の搾取は、個体群の搾取が減少/停止されれば、通常生態系は回復できるため、完全な生息地の喪失とは大きく異なる。一方で、生息地の完全な喪失や生息地の著しい劣化を元通りにすることは不可能であるか、非常に難しく、おそらく非常に時間を要する。
個体群の直接利用は、単一の種もしくは分類群(例:魚類)を対象とし、一般的にこれらは生息地/生態系の動植物のごく一部にすぎないことから、生息地の喪失よりも影響は小さい。しかし、ここでは個々のケースにおいて個体群の利用が深刻な結果を引き起こすことはないと述べているわけではない。例えば、底引き網漁は、魚、カニ、エビなど幅広い種を対象としており、副次的に生息地を著しく劣化させる可能性がある。したがって、底引き網漁は広範囲の海洋動物を対象としていることで、「意図しない結果」としてさらなる生息地の劣化を引き起こす。
比較として、薬用植物や希少なランの過剰搾取は、その特定の植物にのみ影響を与え、生息地/生態系全体にはあまり影響を与えない。これは個体群の過剰利用の例のうち、生息地喪失/悪化と比較して影響がごくわずかなものの1つである。特定の対象種を採集することは、もちろんその種にとって有害であり、地域的な絶滅につながる可能性もある。世界中で個体群の利用・採取が当たり前のように行われており、私たちは対策を講じることができる。土地の転換(生息地の喪失)によって、ある地域の(ほぼ)すべてのバイオマスと生産活動が完全に喪失されるという事象と比較すると、個体群の利用による影響は小さいものである。
気候変動と生息地の喪失の比較
気候温暖化による地球規模の長期的な影響は、生物多様性に著しい悪影響が生じる可能性があるが、気候変動は現在、地域レベルでの意思決定において、土地転換や生息地の喪失ほど重要ではない。これには2つの理由があり、(1) 気候変動の影響は地域レベルでは制御できないこと、(2) 気候変動がどの程度生じるか分からないことが理由であり、つまり空間計画において考慮することが難しいということである。対照的に、土地転換に関する意思決定は完全に地域に委ねられている。
気候変動は地球規模で、比較的ゆっくりと進行し、あらゆる場所に影響を与え、すべての人々によって共同で引き起こされているという点で、他の主要な圧力とは大きく異なる。気候変動は地域レベルの行動によって阻止できるものではなく、地域レベルで生じた気候変動を地域レベルの取組みによって解消することはできない(一方で、土地利用、汚染、個体群の搾取は、地域/地方での決定事項に強く依存している)。
誰もが自らの役割を果たし、温室効果ガス排出量削減のための世界的な取り組みに貢献すべきであることは明らかである。しかし、生物多様性の観点から見ると、(地域レベルでは阻止できない)気候変動を過度に強調していること自体が、生息地の喪失、汚染、個体群の搾取といった、地域レベルで確実に制御できる課題に関する不都合な議論から目を逸らすことを目的とした戦略的無知(確信犯)のようにすら思える。
ただし、気候変動は現在最大の圧力ではないかもしれないが、将来的にはそうなる可能性がある。気候変動は全世界に影響を及ぼしており、気温が著しく高温で気温上昇が迅速であると、生息地の喪失/劣化の形態の1つとして、広範囲における植生の枯死につながる可能性がある。例えば、アマゾンの熱帯雨林が乾燥・焼失し、サバンナに変わってしまうことについては深刻な懸念がある。気候変動やその他の圧力の相互作用によって、数十年以内に重大な問題が生じる可能性がある。一方で、地域レベルで、可能な限り行動することは望ましい。 炭素の保全と生物多様性の間には相乗効果があり、自然に配慮した活動計画ではWin-Winの戦略を模索する必要があることに留意する。
要約すると、誰もがGHG(温室効果ガス:Greenhouse gas)排出量に注意を払うべきではあるが、地域レベルで生じた圧力を低減するための地域レベルでの取組みや、自然に配慮した行動をその地域内で実施するための努力こそ地域レベルで重点的に行うべき活動である(TNコンセプトノート#3)。
汚染と生息地の喪失の比較
汚染は、土地の転換や生息地の喪失ほどは重大な問題ではない。現代では優れた技術的により汚染を大幅に削減、さらには完全に除去することが可能であるからである。汚染物質が水/土壌/空気中に放出されると、汚染は局所的に悪影響を及ぼす可能性があるが、このような事象は先進国ではほとんど見られなくなった。
汚染は汚染源から広がる。死亡率の増加、繁殖成功率の低下、遺伝子変異などを通じて種に影響を与える。汚染の影響は、汚染物質そのものと、環境に放出される汚染物質の量に大きく依存する。汚染の影響は累積的な場合もあるが、生息地の喪失とは異なり、汚染によって生態系が完全に喪失するまでには至らない。特定の汚染形態に対する種の感受性に応じて、汚染の影響は種によって異なる。
陸域システムでは、汚染の影響は比較的局所的であることが多いが、淡水・海洋システムでは、汚染(農業による富栄養化を含む)が広範囲に及ぶ可能性がある。ガス状の汚染物質や微小粒子も、大気中で広範囲に拡散する可能性がある。近年では、少なくとも適切な環境規制とガバナンスを有する諸国においては、汚染により環境が劣化した陸域範囲は比較的小規模である(鉱山、工業プラントなどの周辺のみ)。
汚染の制御はほぼ地域レベルに委ねられている。 産業由来の汚染物質の排出は、技術的ソリューションによって大幅に削減できるため、人々が社会で生活するために必要なニーズに伴う生息地の喪失や気候変動と比較して、汚染に関する懸念は小さい。 しかし一方で、農業システムからの流出と淡水システムへの影響は世界中で当たり前のように起きており、おそらく産業汚染よりも制御が困難である。
外来種と生息地の喪失の比較
外来種は局所的に悪影響を及ぼすが、世界規模での外来種の分布域は土地転換された範囲よりもはるかに範囲が小さい(南極大陸を除く世界の陸域の1/3が農業に使用され、森林の半分以上が管理されている)。ある場所に外来種が存在することにより在来の生物多様性の一部が置き換わるが、すべてが駆逐されるわけではない。一方で、建設行為による土地転換は生物多様性の100%の損失につながるほか、集約的な農林業により生物多様性の甚大な損失が生じる可能性がある。
外来種は、在来の動植物を分散させ、在来種に置き換わることにより生態系に悪影響を及ぼす。ある意味で、これは生息地の喪失の一形態である。強力な侵略性をもつ植物種の拡大・蔓延の影響というのは、開墾後に人や他の種にとってほとんど役に立たない単一栽培プランテーションを形成した場合のような結果に近いといえる。 ただし、すべての外来種が生態系を著しく変化させるわけではない。
人間による生息地転換と比較して、外来種は (1) 生態系機能や生物多様性を完全に喪失させることはなく、(2) 人間の活動範囲ほど広がらない。その結果、外来種は、特に局所的には重要事案であるものの、一般的な人間の活動(都市の拡大、輸送、集約的農業、単一栽培林業など)による土地利用、土地転換(生息地の喪失)、生息地の劣化、生息地の断片化に比べれば比較的小さな問題である。外来種の拡大は部分的にしか制御できず、個体数の制御に用いる手段の有効性が低下する。外来種を根絶できない場合、駆除活動を中断あるいは減衰させるとすぐに拡大を広げる。
4. 結論
要約すると、すべての種は、移動、食料、繁殖に必要な資源を備えた生息地に住んでいる。生息地の喪失は、失われた地域とその周辺に生息するすべての種に影響を与える。生息地の転換による局所的な損失度合は、甚大な喪失につながる場合(農業、造林による)から完全な喪失につながる場合(都市開発、交通基盤整備、その他の建設による)まで様々である。人間の活動による生息地の喪失は世界中で非常に広範囲に及んでおり、南極大陸以外の世界の陸域の約70%を人間が利用している。世界の生息地の喪失は、年間約1,200万haの割合で進行している。
生息地の転換は、地域での意思決定によって完全に管理されている。これらの理由により、生息地の喪失は陸上の生物多様性に対する脅威のうち、阻止できる主要な圧力の1つである。自然および半自然の生息地での新たな開発行為はすべて回避することが最善である。これは、汚染、個体群の過剰搾取、気候変動、外来種、またはその他の圧力による潜在的な影響を無視すべきだと述べているわけではない。土地の転換/生息地の喪失は基本的には空間的な現象である。生態系の連続性の喪失を含む影響を理解するには、空間分析が必要である。場所が異なれば、地域的な文脈において生態学的関連性は異なるが、この影響は地域レベルまたは国粒度の空間分析によってのみ特定することが可能である。
引用文献
- FAO 2021. Land statistics and indicators 2000–2021. Global, regional and country trends. FAOSTAT ANALYTICAL BRIEF 71.
https://www.fao.org/3/cc0963en/cc0963en.pdf - FAO 2020. The state of the World’s forests 2020.
https://www.fao.org/state-of-forests/en/ - IPBES 2018. The Assessment Report on Land Degradation and Restoration. https://www.ipbes.net/policy-support/assessments/assessment-report-land-degradation-restoration
Please see
シンク・ネイチャー Concept Notes #2, #6 and #6B for additional information and literature about pressures and their impacts on species and habitats.
FAO =国際連合食糧農業機関 Food and Agriculture Organization of the United Nations
IPBES = 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム
Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services