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ネイチャーポジティブ方法論

Concept Note

コンセプトノート

ネイチャーポジティブ方法論

企業や自治体、NPOなどの様々な組織が、ネイチャーポジティブに貢献するアクションの実施母体となりえます。そうしたアクションを、科学とデータに基づき定量的に評価することは、その実効性を高めることにつながります。さらに、アクションの空間的な配置を最適化したり、拠点の優先付けを行うことは、ネイチャーポジティブアクションの費用対効果を向上させ、ひいては活動の持続可能性を高めることにつながります。本コンセプトノートシリーズでは、シンク・ネイチャーが用いている、様々な方法論の科学的背景を解説します。

アーバンネイチャーポジティブ方法論_v1

アーバンネイチャーポジティブ方法論_v1

アーバンネイチャーポジティブ方法論:都市に在来種を植える意義

序論:なぜ都市で生物多様性を再生するのか

本来の自然の多くが失われた都市においても、緑地のような、生物が暮らす環境は私たちに様々な恩恵をもたらしています。例えば、都市に緑や水場があることは、騒音の抑制や、都市部の温度調節、空気の浄化に貢献しています。また緑地は私たちに精神的な安らぎも与えてくれます。このような恩恵は、人間が自然や生態系から受け取る様々な恩恵「生態系サービス」の一部であり、樹木や鳥、昆虫などの生物が持つ機能によって支えられています。したがって、そこに暮らす生息地が劣化すれば、こうした機能も十分でなくなります。逆に、生き物が暮らせる場所がたくさんあり、生態系が健全=暮らす生き物が元気であれば、こうした機能も高くなることが考えられます。

私たちは、より良い暮らしのために都市を作り、その過程で人間の社会経済的活動に即した形に環境を改変してきました。その結果、自然が本来保有する機能は低下した状態にあります。こうした生態系の劣化は、私たちの暮らしの質にも影響を及ぼしています。都市部が異常に高温化する「ヒートアイランド現象」はその一例です。これに対して、自然環境を残したり、再生させたりした緑地の周りでは、気温の上昇が緩和されることが知られています。このように、人が暮らす環境の中で、生き物の生息場所を奪うのではなく、逆に生き物が住みやすい都市をつくることは、私たちの暮らしの質をより良くすることに貢献します。

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