#3 自然に優しいアクションを理解する
Understanding nature-friendly actions
自然に優しいアクションnature-friendly actionsは、人間によるさまざまな圧力にさらされる自然を保全・再生し、生物多様性や生態系サービスを支えるために実施できるアクションです。こうしたアクションを理解するための基準には、生物学的な対象、対応する圧力の種類、そして時間的枠組み、空間的範囲、知識基盤の向上という目標など、一般的な要素が含まれます。
行動は大きく分けて2つのタイプに分類できます。情報アクションinformation actionsと実装アクションimplementation actionsです。情報アクションは、政策や協働的な取り組みの改善、あるいは種ごとのニーズや圧力の影響などに関する理解の向上を目指すものです。情報的行動は、現場レベルで即時の効果をもたらすものではありません。一方、実装アクションは、現場で自然にプラスの効果nature-positive effectsをもたらすものです。これには、空間的な影響の回避spatial impact avoidanceと、保全地域の設定protected area establishment、生息地の回復管理habitat restoration、生息地の維持管理habitat managementといった能動的な保全措置の実施が含まれます。これらの自然に優しいアクションのより詳細な分類体系は、目的や運用上の仕組みに関する解説とともに、文書内で示されています。
異なる行動は、それぞれ異なる効果とコストを持ち、適した状況も異なります。また、行動に関する定量的な理解の深さにも大きな差があり、経験的に十分知られているものもあれば、ほとんど試されたことのないアイデアにとどまるものもあります。ケンブリッジ大学が維持しているエビデンスベースでは、世界中で実践されてきた何千もの保全行動に関する多様な情報が蓄積されています。自然に優しいアクションは、生物多様性オフセット(ドキュメント #5)、生物多様性クレジットの創出、ハビタット・バンキング、さらには生物多様性と生態系サービスの持続可能性を目指すあらゆる活動の中核をなす要素です。局所的な効果に加え、行動の空間的な配置spatial allocationは、その行動が実施される地域的な文脈を考慮することが望ましいとされています(ドキュメント#4)。 本書は、シンク・ネイチャーが人と生物多様性の関わりを理解したい方々に向けて提供するコンセプトノートシリーズの第3弾にあたります。続くドキュメント#4と#5では、本ドキュメントで述べた重要な応用分野について、さらに詳しく論じています。
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